昔のひとも眺めた青空。
2016.07.30
柳田国男著「日本の昔話」を読んでいます。
なかに出てくるのは、クマ、タヌキ、サル、キツネ、ヒキガエル、鳥などなど
人間よりも、山に暮らす動物たちが主役の物語が多いのが面白くて。
たまに、ひとが登場したかと思うとどこか間抜けなところがあって
これを聴いてたひとたちも、きっと笑って過ごしたのでしょう。
なかにちょうど、8月1日のことを語った昔話がありました。
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御辛抱の池
むかし肥後国の八幡村で、御社の近くの古池の水をさらえて、池の魚を捕ろうとしたことがありました。八月一日の日であったといいますが、朝から村の人たちが残らず集まって、せっせと水を汲み上げましたけれども、いつまで経ってもかえ乾すことが出来ません。そのうちに夕方になって、もう大分底に近くなったように思っていますと、だしぬけに見たことのない人が一人、その水の中から出てきました。そうしてぴょこんとお辞儀をして、皆様御辛労と言ったかと思うと、忽ち何処かへ消えてしまって、池の水はすぐに又もとの通り、池に一ぱいになってしまいましたそうです。それからこの池の名を御辛労の池といって、誰も魚を捕ろうとする者がなくなりました。
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暮らし方はずいぶんと変化しているけれど、
眺めている空はそのころと同じ。
今朝も、すっきりと晴れました。
どうぞよい週末を。