ソラの
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ソラとハナ。 Vol.2

2022.03.10

(ハナノヒト太田瑞穂さんによる月一連載企画です。全文寄稿いただきました。)

弥生

梅の花が咲き、通りを歩いているとあの独特のいい香りがふわりと私を包みこむ。辺りをキョロキョロと見渡し、誰もいないなあと確認してマスクを外し、その香りをしっかりと深呼吸して楽しむ。この最初の動作が花の匂い泥棒のようで自分でも可笑しくなり、ちょっぴり切なくなる、そんな春。

これを書いている今日は3月8日「国際女性デー・International Woman Day」。日本ではイタリアの「Festa Della Donna、ミモザの日」が有名。私の家の近所のミモザもフサフサでモフモフとした黄色の花を沢山たわわにつけている。昨日の買い物帰りもミモザの木の下で立ち止まり、青空と風に揺れる黄色いミモザの花をしばらく眺めていた。ほっとするのよね。まあるい小さな黄色の花、ひよこみたいだね。かわいらしいのよ。守りたくなるの。優しい気持ちになるの。

「Festa Della Donna」で女性にミモザを贈るのは、この季節、イタリアにたくさん咲いているミモザならば、貧富の差がなく誰でも皆が「ありがとう、大好き」を伝えることができ、花を贈ることができるからとイタリアの女性運動の会議で決まったという話がある。庭先のミモザを一枝、小さな子がお母さんへ、長く連れ添ったご夫婦の旦那様が畑の脇のミモザを一枝、奥様へ。青年が花屋に並ぶミモザを一枝買い求め、一人暮らしの同じのアパートのおばあちゃまへ。そんな光景が目に浮かぶ、いい一日だな~とうらやましくも思う。

花の木の下でこっそり深呼吸をする花の匂い泥棒の私だけれど、花を手にして笑顔がうまれるその瞬間がこのうえなく大好きだ。私だけじゃなくて、きっと世界中みんな大好きだと私は信じている。やっぱり手には武器よりも花がいいと思った3月8日、国際女性デー。すべての女性に花を。

*ミモザ
ミモザはね、アカシアの仲間の黄色い丸いふわふわ花をつける種類の総称なの。よく花屋さんで売っているミモザは「銀葉アカシア」という品種。その他にも「真珠葉アカシア」「三角葉アカシア」「房アカシア」「柳葉アカシア」もあります。ヨーロッパは「房アカシア」が多いかな~。私が近所で見上げたミモザは銀葉アカシア。これは成長が早いの。そして大きく育つ。見上げたミモザは鉢植えで数年前までは私の腰くらいまでの高さだったのだから驚き。台風で倒れたり、最近は車が引っかかって枝が折れたりしたけれど、今年も元気にたっぷりと花をつけていました。