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「ソラとハナ」卯月2025年

2025.04.10

(ハナノヒト太田瑞穂さんによる、月に一度の連載です)

卯月。

桜がほどよく咲き揃った頃、家人の父が急に逝ってしまいました。
先日、電話で話をした時は本当に元気で「次に行くときは、お義父さんの好きなたねやさんの春の和菓子と弁松のお弁当を買っていくね。」と私が言うと「なんでもいいよ。アンタさん達が顔みせにきてくれるのが有難いんだから。また野菜渡したいから、今年は畑、ちゃんとやらんとな。」と言っていたのに。

寂しい。

訃報をきいてかけつけた私達は、亡くなった義理父の財布の中にあった「遺言」と書かれたメモを甥っ子から渡されました。そこには「葬式は行わない。遺体は法により火葬して家族で静かに送ってください。延命治療はしない。」などが書いてありました。確かに、義父は私にもそのようなことを言っていたっけ。義理姉家族が「直葬」を選んでもう葬儀社へ話をいて、家人も故人の遺志は尊重したいと。枕花をと思っていたけれど間に合わず、すぐに義父は運ばれて行き、翌々日に家族で見送りました。

あっという間でした。

義父は京都に花枝を納める花農家もやっていた家で育ちました。雪柳やコデマリを出荷していたようです。滋賀から背負子で運んだ話を私にしてくれました。そんなこともあり、御棺の義父の顔周りに桜、金魚草、ラナンキュラス、チューリップなどの明るい春色の花をたっぷりと飾り、花屋で見つけた今年最後の雪柳を入れました。私が義父に出来る最後の親孝行。

明るい春の季節の花は、美人だった義父の母に似て綺麗なお顔の義父に、とてもよく似合っていました。似合うっておかしいかしら。

手向けの花。白い菊を想像する人もいますし、その風習も大切なものだと思います。私個人としては、そうでなくてもいいのかなあと思っています。それぞれ。

義父の奥さん、私の義母はおしゃべりで天真爛漫、無邪気な明るい人です。その義母とずっと一緒にいた物静かな義父、独りで逝くのは寂しいかなあと明るい沢山おしゃべりをしそうな花を私は選びました。他の親族もそれをよかったなあと言ってくれたことに感謝しています。

いろいろな家庭の事情でバタバタと日々を過ごしています。ああ、ちょっと疲れたなあと毎日思うのですが、亡くなる前日まで耕していたという義父の小さな畑にあった美しい畝を思い出し、さあ、頑張らなきゃなあと立ち上がります。少し天気も良かったので、窓を開け、家の空気を入れ替え、あちこちの花瓶の花を生けかえました。庭の水やりも忘れずに。植物にかかわる時間は、私にとっての大切な自分の時間だなあとこういう時に強く感じた今日この頃です。

(写真は、太田瑞穂さんのお宅にて)