「翼をください」を読んで。
2015.10.08
原田マハ著「翼をください」を、読みました。
膨大な資料や取材をもとに、
まさにプロジェクトとして完成された物語。
史実を織り交ぜたエンターテインメント作品でございます。
時は、1939年
世界一周飛行を世界最初に果たした毎日新聞社の
社用機「ニッポン」の物語が土台になっています。
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二十世紀初頭、人類は初めて空を飛んだ。
それから、競うように飛行記録に挑み始めた。
ライト兄弟、リンドバーグ夫妻、サン・テグジュペリ、ハワード・ヒューズ
そして、世界一周に挑戦するも太平洋上で失踪してしまった女性パイロット、アメリア・イヤハート。
飛行史に関してほぼ知識を持たない私でも、これらの英雄たちの名前は知っていた。
けれど、名だたる英雄たちも成し得なかった大偉業、世界一周飛行を成功させたニッポンと
その乗組員たちの名は、矢部さんに聞かされて初めて知った。
太平洋戦争が始まるほんの少しまえ、
まだかすかに平和の名残のある空をニッポンがぎりぎりのタイミングで飛び、
世界じゅうの人々を驚かせ、日本人に勇気と誇りを取り戻した。
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八人目の乗組員が、記者の質問(この長距離をなぜ飛ぼうと?)に
答えたことばが頭に残ります。
「世界はひとつである。
それを証明するためです。・・・
空から見れば、国境などないのです。」