「檸檬」
2013.03.12
31歳の若さで夭折した梶井基次郎が残した「檸檬」。
たくさん溢れる書店の棚で、
この題名が、ひときわ目を引いて
一瞬にして心を鷲掴みにされたのでした。
・・・・(抜粋)
私は何度も何度もその果実を
鼻に持って行っては嗅いでみた。
それの産地だというカリフォルニヤが想像に上って来る。
漢文で習った「売柑者之言」の中に書いてあった
「鼻を撲つ」という言葉が断れぎれに浮かんで来る。
そしてふかぶかと胸一杯に匂やかな空気を吸込めば、
ついぞ胸一杯に呼吸したことのなかった私の
身体や顔には温かい血のほとぼりが昇って来て
何だか身内に元気が
目覚めて来たのだった。
・・・・・
このくだりは、胸がすく。
そういえば先週、Utrechtの洋菓子モームは、
レモンケーキだったことを思い出しました。
写真はこちらより http://maugham3pm.wordpress.com/