「悲しみの花」
2020.04.30
心に悲しみの花を咲かせよ
嘆きの経験は種子になり
いつしか
たましいに根を張るだろう
悲しみの花を咲かせよ
胸を流れる見えない涙は
乾くことのない水になる
悲しみの花を咲かせよ
朽ちることなき芳香は
亡き者たちへの供物となる
悲しみの花を咲かせよ
それはいつの日か
耐え難い苦しみを生きる
お前をも救うだろう
***
文芸誌『片隅03』より、若松英輔「悲しみの花」
数年前に開催していた詩と音楽のサロンで、
ブックピックオーケストラ功刀貴子さんのフィルターを通して選ばれた作品です。
自分では使わない言葉に触れるのも、
ひとと出会うのと同じくらい、自分にとっては大きな出会いなのだとおもう。
いまは、棚にある本を読みなおしてみる。