M・L・ステッドマン「海を照らす光」
2020.05.21
ブックカバーチャレンジの投稿で、目に留まったのがこちらでした。
古屋美登里訳 M・L・ステッドマン著「海を照らす光」
2017年に「光をくれた人」という邦題で映画化されたそう。
流れ着いたボートに乗っていた赤ん坊を、実子と偽り育てはじめたトムとイザベル。ルーシーと名付けられた赤ん坊はすくすくと成長し、灯台守夫妻にとってかけがえのない存在になった。だが、二歳になるルーシーを連れて本土で休暇を過ごしていたとき、海で夫と子を失い悲嘆に沈む女性がいると知る。夫と妻、親と子、さまざまな絆が生み出す苦しみと幸せを繊細に描き上げ、心を揺さぶる…
著者はじめての長編が、世界的なベストセラーとなった作品です。
物語の舞台となっているのは、第一次世界大戦後のまだ戦争の傷跡が色濃く残る時代。西オーストラリアの小さな町と、そこから160㎞離れた絶海の孤島ヤヌス・ロック。
映画で表現されることも多い時代だからか、
頭に浮かぶイメージにも鮮やかな色彩が伴って
読み始めからぐんぐんと引き込まれていきました。
わたしたち夫婦には子どもがおりません。
赤ん坊から2歳に成長する過程を親として共感する力はありませんが、
色褪せたアルバムに写る自分の幼少期を思い出しながら読みました。
ただ、この物語は子を持つ親でなくとも、
十分に揺さぶられる強さがあった。
―「ぼくたちはどんなときでも自由に選べるんだよ」心がふっと軽くなった。