あたりまえのこと。
2021.05.21
活字を読むと落ち着くので、いつも鞄に文庫本を入れています。
ソラにある本棚から選んでは、読み返すと
前は素通りしていた言葉に、気づくこともあるから不思議。
(前略)事にもとより醜好無し 醜好は惑わざるをと貴ぶ
なに、もともと物それ自体には醜いも好いもないよ。大切なのは醜とか好とかにとりこにならないことさ。物を率直にみることだ。人間の身勝手な感情で、この世をいたずらに好ましいものとしたり、醜いものとしたりしないことだ。そうひっそりと一人呟いていた千年のむかしの市井の詩人が、きみは好きだ。
長田弘「深呼吸の必要」“梅堯心(ばいぎょうしん)”より
思い込みがいかに大きく作用しているかと、つくづく思う。
言葉に気づかされ、あたりまえのことに大きく心が震えることもあって
目の覚めるような言葉を、きょうも探して本を読む。