ケン・リュウ短編傑作集2
2021.05.29
お客さまから教えていただいて、初めての中国作家ケン・リュウを手に取りました。
短編傑作集のなかから、テーマに惹かれて「もののあはれ」編
映画の原作にもなった“円弧”も納められていて、とても興味深く読めました。
生まれた瞬間から、死に向かっていくのが定めであるはずなのに
いつもそれは他人事でしかなく。
メメントモリなんて、まったく絵空事の日々
そしたら、夕日がとても紅くて
もっと感謝しないと罰が当たる、とすこしだけ思いました。
―「万物は流転するんだ、大翔」父さんは言った。「おまえの心が感じたその気持ちは―“もののあはれ”というものだ。命あるあらゆるものが儚いという感覚だ。太陽もタンポポも蝉も<鉄鎚>も、われわれみんなも。われわれはみなジェイムス・クラーク・マクスウェル方程式に支配されており、継続時間が一秒であろうと十億年であろうとみな最終的には消えていく運命にある一時的なパターンなのだよ」-『もののあはれ』より