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ソラとハナ。vol.3

2022.04.10 Sunday

(ハナノヒト太田瑞穂さんによる月に一度の寄稿連載です)

卯月

桜の季節がザーッと通り過ぎたような気がする。お花見のご陽気さとテレビやネットから流れるニュースとで、なんだか心が忙しない年度末だった。通り過ぎたといっても、買い物の道すがら、河津桜、寒緋桜、大島桜、ソメイヨシノ、八重、鬱金、御衣黄と最後までしっかり見守るのだから・・・いやはや。ゆっくりのんびりではないけれど、ちょっと足をとめてのお花見が花屋だったころからの習慣なのだ。

桜が終わるころになり、気温が落ち着いてくるとあちこちでニョキニョキと芽を出す植物がいる。あそこの庭の隅に、駐輪場の脇にある大きなプランターに、花友達の大マダムの大きな鉢に、そして我が家の鉢にも。ニョキ、ニョキニョキ。もうすぐあの花の季節がやってくる。

白くて、可愛らしいベルの形の小さな花をたくさんつけるあの花。やさしいやわらかな香りのあの花。Wedding bouquetでも人気のあの花。幸せの再来という花言葉の花。

スズラン・君影草の季節。

ちょっと先なのだけれど、フランスでは5月1日がJour de muguet スズランの日。ケルトの人々の時代から幸せが訪れるといわれていた春の花。フランスではシャルル9世がこの日を定めたとか。フランスの町ではこの日たくさんのスズランが花屋の店先に並び、それを贈る人も贈られた人も笑顔になる。

暖かなキラキラした日差し、優しく土をなでるような雨、芽吹く植物。ああ、これからまた、再びすべてはじまるという期待と希望。それをこのスズランが芽を出すニョキニョキからベルの形をした愛らしい花をつけることで知らせてくれるのではないかしら。寒く、日の短い冬が終わり、春の訪れというのはいつの時代も幸せの訪れなのだなあと思う。

今年のスズランの日に私は、最近ゆるやかに霞のかかってきた父にこのスズランを贈りたいなあ。スズランの苗を送ろうか。きっと庭の水やりは忘れないでくれると思うから。だって彼は花が咲く庭のある家が憧れで、そして大好きだから。

*スズラン 日本の花屋さんの店先に並ぶスズランはドイツスズランと言われる品種が多いです。切り花ではほんの一瞬、小さく束ねられて並ぶかしら・・・。鉢植えのスズランも売っていることがあるので育てたい人は是非。管理をきちんとすれば毎年咲いてくれますよ。4月になると近所のスズランが植えてあった場所からニョキニョキが始まります。このニョキニョキを合図に春が満ちてくるなあと私は毎年楽しみにしています。そしてあの小さなベル咲くとあの香りを確かめたくて鼻を近づけてしまう私。散歩をしながらスズランを見つけてくださいね。

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