ソラの
SNS

「ソラとハナ」霜月。

2022.11.10

(月に一度、ハナノヒト太田瑞穂さんによる全文寄稿の連載です)

霜月。

先月は家人が風邪をひいてしまい熱が出てドキドキした私。数年前までは熱を測って「37・5度か。風邪薬飲んでゆっくり寝ていればすぐに治るよ。大丈夫、大丈夫~。」なんて呑気に声をかけて、季節の変わり目だしなあ、疲れがたまっていたかなあと考えるだけだった。今は熱が出たらそりゃあ大変。喉は痛くないか、咳はどうか、数日前までの行動はどうだったか、ああ、抗原検査キットを使わなきゃ。今はどういうシステムだっけ。なんだかなあと思いながら「陰性」というお墨付きが出るまで仕事のキャンセルをしたりする。今回はお墨付きをもらい、風邪か~とホッとしながら熱をとるための豚肉ショウガ葱たっぷりの味噌煮込みうどんとビタミンCだわと季節の果物を買い求めた。ありがたいことに季節は実りの秋で葡萄、梨、洋ナシ、柿、リンゴと選び放題だった。

街を歩いていても公園や緑道、近所のお庭、街路樹が実りの秋を迎えている。我が家の近所の歩道には黄色のあの実がコロコロ転がり、踏まないように気をつけながら歩く。そう、イチョウの木の実、銀杏。食べると美味しいけれど踏んでしまった時のショックといったらもう、その臭いの残念さでまたやってしまったか笑ってしまう。

この間、親友からメッセージが飛んできた。「これなんだろう?かわいい実の巨木!」とたくさんの赤い実をつけた木の画像が送られてきた。代々木の住宅街の庭木らしい。ひきのばして~~~~~「イイギリナンテン」と答えを送る。親友達は私をたまに植物図鑑として使う。面白い。でも忙しいと答えないからね。しかし素晴らしいイイギリナンテンだった。古いお屋敷だろうなあ、うらやましい・・・。

街の中でも見上げるとハナミズキの寄り添うように並んだ赤い実。ヤマボウシのもやっとした赤のコロリとした実。小さな粒粒の赤い実がまとまっているガマズミ。お正月に飾る南天も赤くなり、千両もそろそろ赤く染まる。街路樹と言えば黒い色のネズミモチ、シャリンバイも実をつけている。赤い実ばかりに目が行くけれど控えめなシックなこの二つは意外とあちこちにある。

我が家のある蛙小路というちいさな小道にも並ぶ家々の庭のレモンの木、柚子の木、金柑の木、柿の木に実がなっている。蛙小路の家々は果樹が多いなあ。食いしん坊ばかりだ。そして、我が家にも・・・・オリーブの木に一粒。小さかった実が大きくなって今は黒っぽく熟し始めた。一粒でもね、私たち夫婦にとっては楽しみ。密かに塩漬けにして食べようとたくらんでいる。