世界に存在する原子の総量のこと。
2014.11.10
日曜日の日本経済新聞「芸術と科学のあいだ」という欄に
興味深いコラムがございました。
生物学者 福岡伸一さんの《注がれた牛乳は途切れるか》という文章です。
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生命を捉えるとき、私がキーワードとしているのは「動的均衡」という概念である。
たえず合成しつつ、常に分解しつづける。
この危ういバランスの上にかろうじて成り立っている秩序が生命現象だ。
恒常的に見えて、二度と同じ状態はない。
大きく変動しないために、
いつも小さく変わり続ける。
動的均衡は決して新しい考え方ではない。
有名な方丈記の冒頭の一文、
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」を
引くまでもなく、この世界観は私たちの文化史の中に繰り返し現れている。
この世界に存在する基本的な原子の総量はほぼ一定である。
(後略。かの有名なフェルメールの「牛乳を注ぐ女」への解説へ結ぶ。)
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いまから1800年ほど前に書かれた方丈記にも、
その考え方が現れているという〝動的均衡〟という概念のこと。
たいへん興味深く頭に印象つけられました。
近代に入り、確かに科学は進んでいても、
先人たちの気付いた摂理は、不変なんだと感じ入ってみたり。
芸術を鑑賞するときも、
世の中のことや、書かれた時代背景など
少し学んでから観るといい。
そんな当たり前のことを、いまさら思ったのでした。
まだまだ、世界には知らないことだらけですね。
写真は、ウィキペディアより。