『美智子さまが訳された英詩のこころ』より
2014.12.14
夫から、発売中の号に、高倉健さんの最期の手記が載っていると聴いて
ほぼはじめて、文藝春秋を読んでおります。
その手記については、またいつかとさせていただきまして
今朝は、思いがけず読むことができた一稿をここに。
前侍従長 渡邊允さんがお書きになられた
『美智子さまが訳された英詩のこころ』を読んで。
美智子さまの訳された詩集は、
詩人まどみちおさんの「にじ」「消しゴム」の2篇を
かねて読んでおりました。
まどみちおさんの、万物をあまねく公平に観察されるやさしいことばを、
わたしでもなんとなく解るような気持ちにしてくれそうな
それは美しい英語に訳されていらっしゃいます。
詩は、その詩、そのものをまず読み、
声に出して読んですーっとカラダに沁みこんでくるのを待つような
そんな読み方がいいなと。
・・・・・
葬式
新美南吉 作
日暮れに
楡の森かげで、
まずしい葬式してた。
小さい、白い
棺には、
ラッパや絵本を入れて。
土饅頭の
ほとりには
野薔薇やなんか撒いて。
名まえが
横にきざまれた
小さい十字架を立てて。
そして、みんなで祈ってた。
―小鳥よ、空から下りてこい。
―光よ、ここまで射してこい。
―ここに、こどもがねむってる。
FUNERAL
It was a village funeral
Most humble in scale
Under the shade of elms
At sunset.
Into a white coffin, so small,
People put some picture books
And a toy trumpet.
Around the mound
They scattered roses wild,
And erected a tiny cross
With a child’s name
Carved sideways.
And then they prayed
One and all together :
– Oh,come, little birds of the sky
-Come, light, and shine
For under this cold ground
There sleeps a child.
写真はネットより。