ソラの
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「ソラとハナ」水無月。

2023.06.10

(ハナノヒト太田瑞穂さんによる月に一度の連載です。)

水無月。

大雨が降り、あちこちが心配な梅雨入りです。雨はしとしとと降ってくれるのが有難く、屋根が壊れちゃうんじゃないかしらと心配になるような雨はご免こうむりたいものですね。雨靴を買おうと思うのよと言ったら、レインシューズですねと切り返され、そうそうと言ったものの・・・いや、あまぐつ・・・ゴムの・・・と心の中でつぶやいていた私です。おばあちゃんか、私は。

この季節のお楽しみは何といっても紫陽花ですね。雨の中ではしっとりと、雨上がりはキラキラと健康的で、少し晴れた日が続くと雨を待つかのような表情をみせてくれます。有名なところだと北鎌倉の明月院。明月院には姫あじさいが植えられています。手毬型の澄んだ青色のたおやかな紫陽花。昭和の初期に牧野富太郎さんが信越地方で見つけ、その優美な姿から姫あじさいと名付けたそうです。

明月院の紫陽花は毎年300鉢位の挿し木をして、新旧を植え替えているとか。挿し木をし、1年間は鉢で育てられ、その後、山の中の畑におろし育て、植え替えるための苗木に。しっかりと心込めて手をかけていらっしゃるのであの美しい景色、明月院ブルーになるのですね。お話を伺った時、とても感動しました。

美しい紫陽花の名所にはなかなか足を運べなくても、この季節は街のあちこちで紫陽花には出会えます。母の日に届いたかしらと思われる紫陽花の鉢植えが東京のあちこちで梅雨の季節を彩っていますよ。花の仕事をして四半世紀以上、母の日にお届けした紫陽花は数知れず。ミセスクミコにはじまり、大好きで仕入れすぎてしまった隅田の花火、城ケ崎、フラウマリコ、西安、マジカルレインボー、ダンスパーティ、万華鏡、伊予獅子手毬・・・紫陽花の品種は本当に沢山。覚えきれない・・・・・。思い出しきれない・・・・・。

近所のおばあちゃまの家には大きく育った八重星形の隅田の花火が今年も盛大に咲いていました。これがまた鉢植えのまま地面に置いてあるので、根っこが鉢の下からでて地中に伸びていっているというビックリ紫陽花でして、私の身長をはるかに超えているのがまたビックリ。毎年私は楽しみにしています。

紫陽花を生ける時のポイントをお教えしましょう。何よりも大切なことは綺麗なお水。ということはよく洗った清潔な花瓶。これは必須です。茎を斜めに切って茎の真ん中の白い綿の部分を少しほじくり出していけるとか、切り口にミョウバンをつけるとか、茎を木槌で叩いて焼くとか、そりゃあ花屋さんはいろいろやるけど、一般の方はよく切れる花バサミで切り戻し、きれいな水に生ける。これに限ります。だって紫陽花はお水が大好きなんだもん。