ソラの
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「ソラとハナ」神無月。

2023.10.10

(ハナノヒト太田瑞穂さんによる、月に一度の連載です)

神無月。

寒露も過ぎ、晩秋と言われる季節になりました。八百万の神様が出雲で会議をするというけれど、議題はやっぱり地球温暖化と世界平和なのかしらと考えてしまいます。すこやかにおすごしですか?

朝ドラおばさんの私は「らんまん」が終了し、ああ、いいドラマだったなあと。牧野冨太郎さんは花の仕事をしていると必ず出会う植物学者、花仕事の端くれの私も何冊かの本を持ち、練馬の牧野記念公園にも足を運んだことがあります。お写真で拝見する笑顔はたまらなく素敵で、植物の本も読みだすと止まらない面白さ、でも、植物分類学者ってドラマには地味じゃない・・・と思いましたが、見終わって拍手と涙。私の母は最終回見終わってすぐの電話で「おしん以来のいいドラマだったわ~。」と涙声で感動を伝えてくれました。

昨年も書いたのですが、秋の甘い香り金木犀キンモクセイ。このキンモクセイの学名 標準:Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino。一番最後にMakino。キンモクセイの学名は牧野富太郎がつけたのです。

雌雄異株のキンモクセイですが、日本にある木は雄株だけだそうです。雌株は?となりますよね。もちろんキンモクセイは雄株と雌株があり、雄株の花粉を雌株のめしべに受粉することによって種子を結びます。雌株もあるのです。雄株は種子を作らないので木への負担がなく、受粉率を高めるために雌株よりもずっと多くの花を咲かせます。そのため日本に持ち込まれたとき、可愛らしく香りのよい花を観賞用として楽しむということで花を沢山つける雄の株が持ち込まれたとか。そして、その雄の株を挿し木などで増やし続けて今のように雄の株だけになったという話です。この話を知ったときは私もびっくりしました。そうか・・・日本ではキンモクセイは男ばっかりなのだと思うとなんともかんとも。

今年も隣の庭のキンモクセイの蕾が膨らみ始めました。もうすぐ甘い香りがすることでしょう。牧野時太郎気分でキンモクセイの木を眺めてみてはいかがでしょうか。練馬の牧野さんの家の玄関先にもキンモクセイが植えられていたそうで、今も練馬の牧野記念公園にキンモクセイの木はあります。またゆっくり行きたいなあ。

牧野富太郎さんの牧野日本植物図鑑初版がネットでも公開されています。和名で検索もできますので、ご興味のある方は是非ご覧になってください。キンモクセイも名前検索の和名で検索すると出てきますよ。この図鑑で身近な植物を検索してみると時間を忘れてしまいますので、皆様お気をつけて。