「ソラとハナ」文月2024年
2024.07.10
(ハナノヒト太田瑞穂さんによる月に一度の連載です)
文月。
あっという間に暑くなってしまい、今年は梅を買いそびれてしまいました。梅シロップは作ろうと思っていたのに何という事でしょう。隣の梅マダムの梅の木も全くないと言っていいほど実をつけなかったし、スーパーにもあんまり梅は並ばなかったし、梅は今年少ないよと聞いていたのに逃す私。まあ、そんなときもあるかとあきらめ、来年は梅酒に梅シロップに梅ジャムだなと気合を入れ、残り少ない一昨年沢山作った梅酒を炭酸で割り飲んでいます。
夏のような暑さが梅雨入り前から続き、猫の額ほどの庭仕事も花を生けるのもいろいろと考えてしまいます。この暑さをどう乗り越えていくか・・・。庭はね、鉢植えばかりを並べているので、水やりは朝たっぷりやったり、できるだけプラスチックの鉢じゃなく水保ちがよく通気性のよい駄温鉢(だおんばち)を使うようにしたり、コンクリートの庭なので鉢の下にレンガや浅駄鉢(あさだばち)を使って上に持ち上げたり、風が通りやすいように並べ替えたり。紫陽花やバラの切り戻しでさえ、いつやったらいいのかわかりづらいようになってしまいました。
ああそう、私がプラスチックの鉢でなく駄温鉢を使うのは、私にとって水やりの目安がわかりやすいのと、プラスチックの鉢は夏に熱々になってしまうのが嫌だからなんです。駄温鉢、都心部では最近売っていないんですよね。この間、青山の無印良品に並んでいてびっくりしました。ええ~っ!ここにという感じです。ディカバージャパン的な扱い???まあ、私も三茶にある陶器屋さんが扱ってくれているから野良猫にひっくり返されても買うことができているけど・・・・・。他ではみかけないし。ホームセンターにはあるらしい・・・噂。
駄温鉢って何?と思う人もいるでしょう。常滑焼の昭和なあの植木鉢です。桟の部分に釉薬が塗ってあり、1000度くらいで焼いてあるそうです。たしか・・1000度だったと思う。私が園芸用品を扱っている花屋で働いていた30年前はこの駄温鉢と浅型の浅駄鉢、素焼鉢、朱温鉢(しゅおんばち)がよく売れていたのです。古いお家の軒下に忘れられたように置いてあったり、ご年配の方はまだまだ使っている人も多いはず。駄温と朱温は釉薬が塗ってあるかの違い、素焼鉢はもっと通気性のいい水はけのよいもので海外のテラコッタ鉢と同じような扱いです。
国産の植木鉢、使い勝手いいだけでなく、風情もありおすすめします。随分、作っている方も減ってきているみたいです。常滑に行ってみたいなあ。だいぶお世話になっているから。そんなことを思いながら、朝早起きをして庭にたっぷり水やりをし、植物に話しかけている私でした。