ソラの
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「ソラとハナ。」睦月2025年

2025.01.10

(ハナノヒト太田瑞穂さんによる月に一度の連載です)

睦月

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

お正月は実家へほんの少しだけ帰省。いろいろと忘れる父がお正月を楽しみに待っていたので、私達娘三姉妹は人生で一番団結して時間を合わせて集まるようにしています。集まりワイワイしていても父の記憶からはすぐこぼれ落ちるのですが、その瞬間の父の満足や楽しい気持ちが大切なのかなあと私の家族は考えています。

その実家の近所で「難を転じて福となす」とお正月飾りに使われる南天が美しく実っていました。思わず足をとめて見入ってしまうほどのたっぷりとした赤い実。雪の白さとのコントラストからなのか、新潟特有の冬の湿度のおかげなのか、花屋仕事で使う花材とは違い瑞々しくキラキラと輝いていました。今の父の具合や数年前の実家の火災、いろいろあるけど家族が健康で集まることができるのは我が家にとっては幸福です。

東京へ戻り、我が家の小さな家に帰ると年末に生けた日本水仙の香りが出迎えてくれました。やっぱりこの香りはいい。空気がすうーっと綺麗になっている気がします。香りは生けてもらわないとわかってもらえないのよねえ。毎年私がお手伝いする花屋へ水仙を買いに来て下さる奥様も春の香りだからとおっしゃっていました。花姿も小さな小鳥が沢山おしゃべりしているようにみえ可愛らしいのとも。私もそう思いますと嬉しくなりました。

今年はというか昨年末は、花も全体量が少なく価格も高騰。先ほど書いた南天の実も私の好きな水仙もびっくりするほどのお値段。植物ですものね。野菜と一緒。最近の温暖化や雨が降らない、降ったら降ったで大雨、土砂降りやまず、これでは植物も大変、花農家さんも大変になってきています。

すこしでも何かできないかと考えまして、私は少し慎ましく生きていくことなのかなあと。便利な世の中ですけどね、子や孫の時代にも穏やかなお正月を迎えられるようにと思いました。日本のお正月はピリッとしていいものですからね。古い考えや行いも大切にしていきたい今日この頃です。