ソラの
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「ソラとハナ。」如月2025年

2025.02.10

(ハナノヒト太田瑞穂さんによる月に一度の連載です)

如月。
東京に住み暮らし、50歳を過ぎてから私は立春をいいものだなあと思い始めました。日が少しずつ長くなり、お天気のいい朝の陽ざしがキラキラとして、春の陽気が立ち始めるとはこういうことなのだなあと嬉しくなります。お正月のキリっとした雰囲気とまた違い、少し柔らかな雰囲気でお日様と過ごしていく1年が始まるというところがいいなあと。とても農耕民族的ですね。花を生業にしてきた私にとっては1年の始まり大切な1日になりました。

節分の日は豆まき。私は新潟で育ち、豆まきの豆は殻付き落花生でした。ええ~!落花生と思うでしょ。なんで落花生なのかはわからないけれど、ずーっと落花生で豆まきをしていたので東京に出て「大豆!!」とびっくりしました。無病息災、邪気を払うために豆まきをすることは一緒なのですけどね。どうも北国は落花生のところが多いらしいです。不思議ですね。調べたけれど分からず・・・・・。

立春の日は立春大吉と勇んで庭に出ます。今年はお天気も良かったので、朝から庭の掃除をしていました。落ち葉を掃き、雑草を片付け、鉢植えに寒肥の肥料を施し、水やりをして気持ちを新たに。家の中に飾ってある花も花瓶をよく洗い、切り戻し、生け替えてすっきり。

ちょうどお休みの日だったので、大好きな梅や椿の咲いているお宅の庭を覗きに散歩。昨年は伺うのが遅くて梅が終わってしまっていたので、今年はやっぱり立春のこの日にと思いました。その場所はビルの谷間の路地を入っていくと袋小路のどんつきにひっそりとあるのです。歩いていくと見えてきました、白梅はちょうど綺麗に咲いていて、紅梅は咲き始め、ああ、やっぱり、この頃がいいのね。風に運ばれてくるいい香り。

門にある住所には東京府荏原郡。いつのもの・・・。古いお宅は手入れが行き届いたお庭が多く、こちらも美しく丸く整えられた梅、たくさんの椿、季節の花々なのですが、今年は様子が少し違っていました。お隣りにあったお宅は空き地になり、たくさんの椿が伸びきっている・・・。お元気でいらっしゃるかしらと気がかりになりました。

古いお宅をいろいろ見に行こうとそのあとも散歩をしましたが、散歩道のお屋敷街は残念ながら低層マンションや駐車場に姿を変えていました。本当に残念。ちょっと寒かったけど、眺めのよい公園の日向のベンチでゆっくりし、メジロやヒヨドリを観察して、崖下の公園の白梅と日本水仙の美しさにうっとりし、立春散歩は終わりました。

すごい寒波がやってきて、あちこちに被害も多い今日この頃。私の実家も雪がすごく毎日妹たちや両親と電話をしています。みんなに穏やかな春が訪れることを願って。

立春大吉。