ソラの
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「ソラとハナ。」皐月2025年

2025.05.10

(ハナノヒト太田瑞穂さんによる月に一度の連載です)
皐月

外に出ることが楽しみな季節になりました。晴れていると風は心地よく青空は澄み渡る、雨が降っても恵みの雨で天の如雨露から新芽を傷つけないようにさらさらと降り注ぐ、なんといい季節なのかしら。スズランの小さなベル型の花が揺れ、盛りを過ぎ伸びすぎのパンジーやビオラを部屋に飾る頃、レモンや柚子、柑橘類の花の香りが鼻をくすぐり、あちこちの薔薇が美しく咲き、ワイルドストロベリーやキイチゴが宝石のようなキラキラした赤い実を沢山つけ、ほら、春に咲いていた桜の木にサクランボがなっている。梅の木は梅の実がふっくらとしてきているよ。どこに行くわけでもなく仕事をしていたゴールデンウィーク。出勤や買い物へ行くときも、我が家の小さな庭に出ても、「うわ~、すごい!綺麗!いい香り~!!」と思いながらなので楽しく過ごしていました。

独りなのに声に出て感嘆している時もあるけれど・・・・・。

私は玄関先やベランダにひとつ鉢植えがあれば、それはその人の庭だと思います。サボテンや多肉植物も季節の花鉢もなんでも。今の貸家に住むずっと前、小さなアパートの時も玄関先に鉢植えを数個置いて育てていましたこれがまた日当たりの悪い場所だったりして失敗も多かったんですけど、めげずに水をやり、肥料をやり、植え替えをし、いろいろと育てました。失敗するからいろいろ育てられたのかも。

引っ越しのたびに、少しずつ私の庭は大きくなりました。玄関先からベランダへ、そして今の貸家の猫の額ほどの庭へ。内見の時にベランダの排水溝を気にしたり、風の流れや日当たりを気にしたり、台所と庭になる場所が大変重要ポイントで不動産屋さんもあきれていました。猫の額のほどの庭の家は昭和に建てられた家なので、玄関先に庭があったことや隣のマダムの庭も楽しめそうだったこと、前よりも少し日当たりがいいかなあと思って決めたのです。今は新築三階建てに囲まれてすっかり日当たりが悪くなりましたが・・・。

庭に植物に日照権はございません。近所の庭友マダム達と笑っています。

小さな鉢植えひとつでも、それは庭。朝起きて庭に目をやったときに小さな新芽を見つけたらうれしくなり花が咲いたら幸せになります。失敗してしゅんとしたら悲しくなっちゃうけど、そういう時間があると豊かになるなあと思っています。小さな庭が繋がっていくと街が楽しくなるのになあ。だって、街が大きな庭みたいになるでしょう。レモンの木も梅の木も、私のお気に入りのスズランの鉢植えもみんな誰かの庭ですから。

庭が持てなくても、鉢植えを置けなくても、部屋の中に花を飾ったら、そこは私だけの庭になる。そういうのもいいと思うんだけどなあ。