フェアリー・オブ・ライブラリー/レモンエアライン1002便
2013.10.02
雨の日の図書館は、
ほんのりあまい匂いがする。
本の妖精たちが棲んでいるから。
透明の羽を揺らして、自由に飛びまわる妖精たち。
フランス文学の本棚から離れない、女性の肩にとまったり。
むずかしい数式がびっしり書かれた本と、
にらめっこしている男性の頭にとまったり。
そして、妖精たちはいたずらを思いつきます。
フランス文学の彼女の本を、床に落としたのです。
拾い上げたのは「数式」の彼でした。
その瞬間、やさしい雨の音は、ふたりのBGMに変わりました。
本の妖精たちはウインクして、
次のいたずらをたくらんで飛んでいきました。
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シラスアキコ(コラムニスト)
クリエイティブユニット「color/カラー」(www.color-81.com)の
コピーライター・クリエイティブディレクターとして活動。
「モノ語りのあるモノづくり」を大切に、
企業のブランディングから商品開発、プロダクトデザインの企画、
広告制作、ラジオCMなどを手がける。
60年代の日本映画とフランス映画、赤ワインが好物。
*レモンエアラインは、毎週水曜日に出航です。
こころがふうわりと浮遊する軽やかなじかんを、お楽しみください。*