「やめるときも、すこやかなるときも」
2017.04.02
窪美澄さんの最新作「やめるときも、すこやかなるときも」を読了。
青山ブックセンターに平積みされた
サイン本の最後の一冊に背中を押されるように、
単行本を久しぶりに本屋さんで購入したのです。
読み始めたら止まらなくなって、
朝もいつも通りの時間に目が覚めて、
ルーティンをこなしたら食事もとらずに読んでいました。
本作について、担当編集者さんのコメントがとてもよくまとまっています。
『ふがいない僕は空を見た』『よるのふくらみ』『さよなら、ニルヴァーナ』など、人の感情の機微をとらえ、生のありようを見つめる作風が人気の窪美澄さん。そんな窪さんの最新長編『やめるときも、すこやかなるときも』が、3月24日に発売されました。既刊は、激しく読者の心を揺さぶるような作品が多い窪さんですが、本作は著者曰く、「やさしさ成分の多い小説になりました」、とのことで、まさに新境地の一作です。
物語は、心に傷を負った家具職人・壱晴と、実家を支えて恋と縁遠い会社員・桜子が偶然に出会うところからはじまり、ふたりが少しずつ歩み寄っていく道のりが丁寧に描かれます。
“記念日反応”ということばをはじめて知りました。
壱晴が、毎年同じ時期に声が出なくなって14年
その年月が長いか短いか、きっとそれぞれに感じ方が違うでしょう
中学生だった自分が
全速力で自転車をこいでいた夜のことを思い出しました。
瞬時に、その時間に戻ることができる小説。