東京へ出てきたのは、いまから21年前の冬でした。

 

夫が勤めていた会社を辞めて、地元で就職活動をしているとき

ふとしたことで、その求人広告を目にし

新聞の東京版にしか掲載していなかったはずなのに

遠く愛知県から届いた履歴書に珍しがった担当者の目に留まり

運よく採用していただけたのがきっかけでした。

 

憧れの東京で、働き口が見つかったから

一も二も無く付いてきました。

 

何も知らない街に、夫婦ふたりで住み始めます。

無職のわたしは、なにがどこにあるのだろうと昼の間、にぎやかな方へ歩きました。

 

はじめての東京。

はじめての都会。

歩くスピードまでも速くてすべてが驚きでした。

 

自分に仕事を見つけるまでの半年間

都会に飲み込まれそうになったそのころを

いまなら笑って話せます。

 

大丈夫。