「この花はサクラじゃない。」
2018.05.24
なんのコマーシャルだったか思い出せないのですが、
教師が黒板に書いた歌を指して「この花はサクラじゃないぞ。」というのが
頭に残っているのです。
歌は、百人一首35番 紀貫之
人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける
変わらぬ梅の美しさと、人の心のうつろいやすさを詠むこの歌は、
紀貫之を知ることから読み解いていく。
そのころから、歌に花と詠まれれば、それは桜のことでした。
ただ、花の香りとつながっているとき、それは梅がふさわしい
奈良へ参るときの定宿にしていたところへ久しぶりに訪れた折、
そこに咲いていた梅を一枝折って詠んだとされます。
ときを経ても、咲く花やその香りは
紀貫之が見ていたものと同じものもあり
なんとまあひとは、泡のようだと思うのでした。