レオナルド・ダ・ヴィンチの童話。
2020.04.04
ぐるぐると答えの出ない思考から逃げ出すことができないか、と
思い切って500年前に遡ってみることにしました。
「レオナルド・ダ・ヴィンチの童話」
鳥獣や魚貝や草木を主人公にした短い童話が、たくさん編纂されています。
芸術家であり、科学者でもあったレオナルドなら、
いまの世界をなんと表現するだろう
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紙とインク
「ひどいなあ。ぼくをこんなに汚してしまうなんて」一枚の紙が、インクに文句を言いました。するとインクが答えました。「違うんだよ。汚したんじゃないよ。ぼくは、きみの上に言葉を書いたんだ。これでもうきみは、ただの紙ではない。人間にとって大切な紙になったんだよ」それからしばらく経って、人間が机の上を片付けにやってきました。紙くずやごみは、集めて燃やしてしまいました。ところで、インクで汚れた紙を、人間は火にくべたでしょうか。いいえ、火にくべたりなどしません。そこには、人間にとってとても大切なことが書いてあったからです。