小説幻冬を定期購読して。
2020.12.02
「小説幻冬」を定期購読してよかったことと言えば、
知らなかったひとの文章に触れることができたこと。
自分では選ばないだろうジャンルの文章を読んでいること。
それが連載でも、読み切りでも、新刊を紹介するコラムでも
そう、世界は知らないことだらけ。
というか、ほとんどのことを知らないまま生きているといってもいい。
きっかけは、上野千鶴子さんの往復書簡がスタートするというツイートだったが
文芸誌の定期購読は、コロナ禍の今年にあってベスト10に入るだろう。
それに、このごろやたらと共感が強くなった。
最新号のこのくだりは、文字がスローモーションで脳に入ってくるような衝撃を味わう。
―身体は自分の思うようにならない、身体は自分にとって最初の他者だ、と思うようになったのは、障害者のひとたちとつきあうようになってからでした。あのひとたちは、長期にわたってままならない身体とつきあっています。他人とはままならないものですが、それ以前に自分の身体もままならない他者とつきあわなくてはなりません。加齢とは、誰もが中途障害者になるようなものです。そして、年齢をかさねるにつれて、わたしは精神も身体も、こわれものだと感じるようになりました。乱暴に扱えば、心もカラダも壊れます。こわれものはこわれものらしく扱わなければなりません。(続く)-上野千鶴子著「往復書簡 限界から始まる 上野千鶴子→鈴木涼美」より