「くるまの娘」
2022.07.24
芥川賞受賞第一作となる宇佐美りん著「くるまの娘」を読みました。
受賞作「推し、燃ゆ」の記憶に重ねるように、一気に読み進めていきました。
車で祖母の葬儀に向かう、17歳のかんこたち一家。
思い出の景色や、車中泊の蜜なる空気が、
家族のままならなさの根源にあるものを引きずりだしていく。
親は、子どもの成長とともに親らしくなっていくのか。
親になったことのない私は、それもまた想像することしかできないけれど
心底愛情を注いでもらっていたという親の愛を、ずしんと理解したことがありました。
それ以降、もう親には頭が上がらないのです。
描かれているかんこ一家の生きざまは、
ひとつも重なるところがないけれど
家族の数だけ、違う世界があるのが家族だ、と感じながら読み終えました。