「馴染まない味噌汁」
2022.08.06
平野紗季子さんのリレーコラム“街の気分と思考”の第二弾。
「馴染まない味噌汁」というそれは、きっと誰にでもある祖父母の記憶を巡るものでした。
麦味噌の味噌汁を口にした途端に開いたドア。
記憶のなかの、時が止まったその光景に引き込まれていく…
もうこの世にいないひと。
でも、あるときふっと、はっきりと自分のなかにそのひとを感じることができるひと。
祖父母との記憶は、いつまでも自分のなかにある。
あゝそういえば祖母の味として思い出すのは何だろう。
父も母も、それぞれ寺の住職をする祖父母の元で育ちましたので、
祖父母のところへ遊びに行くと、
檀家の方からのいただきもののお菓子や果物をいつも分けてもらってました。
夏なら、井戸水で冷やした西瓜をみんなで食べたのを思い出します。