ソラの
SNS

「ソラとハナ。」2023睦月

2023.01.10

(ハナノヒト太田瑞穂さんによる月に一度の連載です)

新年、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

睦月。

正月に親類一同が集まる、睦び(親しくする)の月です。と言いながら、家人の体調もあって年越し年明けは東京で過ごしました。こちらに居るといっても毎日実家に電話をする私なので、顔が見えないだけで家族皆とは長話。SNSで食べたものや花や〆飾りの写真を送り、その返信には同じ表情、同じ姿でおせちを美味しそうにパクつく父と甥っ子のそっくり写真やお腹がいっぱいで寝転がる父と笑う母の写真が届きました。全員揃わなくても賑やかお正月でした。

新年なので少し、縁起物の植物の話をしましょう。この間、テレビを見ていたらお料理の土井先生が素敵なことをおっしゃっていました。「黒豆はマメになるため、昆布巻きは喜ぶ、数の子は子孫繁栄などなど、毎年毎年、同じことを耳にタコだよと思っても、おばあちゃんやお母さんが取り分けながら言うことが大切。それが寿ぐ。言祝ぐ。言葉にして祝うということなんですよ。」ということでした。ああ、そうか、私も新年に花のことで言祝いでみようと思ったわけでございます。

もうすぐ初釜なので、柳の話をいたしましょう。初釜で結び柳と呼ばれる枝垂れ(しだれ)柳。お正月アレンジメントやお家で生けるようにと束ねられた花束、金や銀に色づけされたものも見かけたことがあることでしょう。この枝垂れ柳は六角柳ともいわれます。幹が六角形をしているとかではなく、最初に植えられた場所が京都頂法寺六角堂だったことからこの名前だとか。この頂法寺六角堂は聖徳太子が創建したと伝えられ、いけばな発祥の地とされています。六角堂のしだれ柳は縁結びの柳としても有名です。是非お勧め。私は池坊ではないけれど。

さて、新年の柳。中国では農書『齊民要術』に「正月旦、取楊柳枝著戸上、百鬼不入家」(正月の朝、楊柳の枝を戸口に挿しておけば、百鬼が家に入らない)と書かれているそうです。ここからきているのかなあ。そして、結ぶ。よくお正月の花でもクルリンと結んで柳の先を輪にしてあるでしょう。あれは太陽を表しています。と私は思いながら結んでいます。目を突かないためではありませんよ。結ぶという言葉も重要です。結びのむすは「産(うむ)す」「生(む)す」という言葉に繋がり、結びのび、「ひ(霊)」は霊的・神秘的な働きのこと。「産霊(むすひ)の神」とは,万物を生みだす神なのだそうですから・・・。柳を輪に結びって、ほら縁起がいい。

2023年の暮れにこれを読んだ方が結んだ柳を手にしていたら私は嬉しかったりするのでした。言祝ぐ。