ソラの
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「ソラとハナ」卯月

2023.04.10

(ハナノヒト太田瑞穂さんによる月に一度の連載です)

卯月。
桜の満開も早々に、藤がきれいに咲きそろうなんて、季節の通り過ぎについて行くのが精一杯。我が家の庭、前にも書きましたけど・・・借家住まいで猫の額ほどのコンクリートで固められた庭ですが、こちらも大忙しです。秋に植えたチューリップや初冬に植えたパンジーにビオラが咲き乱れ、バジル植えなくちゃ、パセリの種を蒔かなきゃ、朝顔の種を準備しなくちゃと大わらわ。といってもその時間が楽しくて時間を忘れて草むしりや植え替えをしているのですが。

庭の世話をしていて思うことがあったので今回はそんなことを書いてみようかと。私は駄温鉢という昔ながらの日本の植木鉢が好きなのですが、この駄温鉢がすごく値上がりしていて驚き。私が花屋になった30年前はプラスチックの植木鉢のほうが高かったのに、今はこの植木鉢のほうが高い。海外のガーデニングがたくさん紹介されるようになり、テラコッタ鉢がバブルの頃にもてはやされ、プラスチック製品も扱いやすいしと駄温鉢を使う方が少なくなり、作る方も減ってしまったそう。先日、某有名企業さんの冊子に日本のものづくりと紹介されていました。

駄温鉢、日本の土をこねて焼かれた鉢だから日本の気候にやっぱりあっていると思うんですよ。プラスチックは呼吸しないし、夏は熱くなるし、海外のテラコッタは乾燥が激しいような気がしてね。意外と割れないし。植物が気持ちよく育つ気がします。私も大きいものはプラスチックの鉢を使っています。年を重ねて腰を痛めてから重くて動かせないから・・・と言い訳。

しかし、プラスチックの植木鉢が安くなっていることには本当にびっくり。100円均一に売っているのだからすごい時代だなあと思います。私の使っているのは園芸店で買ったものです。硬質プラスチックだから長く使えるのよ。10年は使っている私。

植木鉢の話をしましたけれど、この季節、お庭をはじめるのにいい時です。小学生の頃に皆さんやってみた朝顔の種を蒔いてみるのも楽しいですよ。芽が出て双葉になって、本葉が出て、支柱を立てて、花が咲いて、毎日咲いて、種ができてと成長を見続ける時間は何とも贅沢。春のドラマで牧野富太郎先生のお話もはじまったことだし。植物と仲良くなってみることもおすすめです。お庭がなくても、ベランダで十分。小さな植木鉢があなただけの小さなお庭。肩の力を抜いて、ぜひぜひ。

そうそう、牧野富太郎さん。この方は素敵な随筆もたくさん書いていらっしゃいます。文章もとてもお上手で今よりもずっと植物好きになります。ご興味のある方は読んでみてください。