ソラの
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「わたしに会いたい」

2024.02.04

「サラバ」で度肝を抜かれた西加奈子さんの短編集。そういえば語学留学先のカナダで、乳がんの摘出手術を受けたとの報道を思い出し、平積みされたこの本を手に取りました。外国で大手術を経験した前と後の変化を感じ取ることができるか。

前略)―カナダの医療は無料だ。私のような外国籍のがん患者も、州の健康保険に入っていれば、新薬などの適用外はあるが、無料で治療してもらえる。それは本当に有難かった。でも同時に、無料だからこそ驚くことが多々あった。例えば、今回の手術は日帰りだ。国が全額出す訳だから、なるべく患者には入院してほしくないのだろう。出産もたいてい日帰りか、翌日には帰されるという。産後、一週間入院して、授乳指導からお祝い膳から、産後マッサージまでつけてもらった自分と比べると、カナダで出産した人たちはなんて逞しいのだろう。そう思っていた。だが今は、自分が「両乳房全摘出日帰り」という形で、その「逞しい人たち」の仲間入りをしなければならないのだった。(送られてきた予定表を見ると、手術予定時間は12時、退院予定時間は15時とあった。何度も読み返した)。-(続く)『Crazy In Love』より