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「ショートケーキは背中から」

2024.09.01

平野紗季子さんの本は、実に10年ぶり。この間も、「味な店 完全版」など書籍化されたものはありましたが、書下ろしも、大幅に加筆されたものもたっぷりのエッセイ集は、たのしみでした。エッセイを書くことは消化することだと感じる(書いたことはない)。言葉は、そのひとから生まれるから、その文章を読むという行為は、そのひとのことをすこし理解し、共感できる言葉を探すこと。

―自分にも、まだ感じる力が残っていた。そう思えたことが嬉しかった。やっぱり虚無にはごはんが効く。失われた生命力はその日のうちに取り戻さなくちゃいけない。それからの私は、どれだけ追い詰められていようと、どれだけしんどかろうと、ものを食べる気力さえ残っている限りは必ずごはんを食べて1日を終えることに決めた。(続く)平野紗季子著「ショートケーキは背中から」より