拾い読みというたのしみ。
2014.06.29
夏目漱石作「草枕」は
読みかけのまま棚にしまって、
いまは、岡潔著「春宵十話」を読んでます。
いつかもう一度、「草枕」に向き合いたいな。
何といっても冒頭がいいから。
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山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。
情に掉させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。
やはり向こう三軒両隣りにちらちらするただの人である。
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そして、岡潔著「春宵十話」に書かれた夏目漱石談も良い。
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漱石といえばまた、朝日新聞に入社した当初だったと思うが、
次のように獅子吼したことを思い出す。
「自分の小説は少なくとも諸君の家庭に悪趣味を持ちこむことだけはしない」
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この後には、岡潔氏の私見が綴られているのですが、
この弁明がとくに印象に残っています。
さっぱりと大変に潔くて、
ほんとうに清々とした気分になったのです。
こうして、本と本の間を行き来しながら
ゆるりと読むのが心地よくて。
拾い読みのたのしさを
教えてくださった山元伸子さんに、
心から感謝しています。