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ソラ体験記No.3|竹中万季 

2022.03.25

(以下は、me and you 竹中万季さんによる全文寄稿。お写真も竹中万季さんによる撮影です。)

me and you  竹中万季

仕事でばたばたな日々を駆け抜け、カレンダーを見ながらずっと楽しみにしていた美肌室ソラへ。寒さで身体もこわばり、心もせわしない感じが続いていたから、束の間の休息だ、と足取り軽くお店に向かう。表参道の駅から小道に入り歩いていくと、鳥が羽ばたく美肌室ソラの看板が。ビルの2階に登ってドアを開けると、やさしい光が差し込むお部屋で店主の舘山さんが迎えてくれた。

 

お花や本、写真が飾られたお部屋は友達の家みたいで居心地がいい。写真は植本一子さんが撮ったもので、本棚にずらりと並んだ本は舘山さんが読んでいたものが置いてあるそう。なんだか勝手に抱いていた「美容サロン」のイメージと違って、緊張がゆるゆると解けていく。

 

わたしが受けたのはフェイシャルトリートメントのコース。服を着替えて横になると、おなかにあったかいさくらんぼの種を乗せてくれた。じんわりと熱が広がっていく。顔のマッサージがゆっくりと始まって、あたたかさと冷たさが重なっていくなかで、こわばりがほどけていくのを感じる。ずっとパソコンに向かっているからか、目が重たく開かないのが近頃の悩みだった。それに、リモートでの仕事がほとんどで、外に出てもマスクをしているから、顔の動きも減ってしまっていた。舘山さんに触られた肌は少しずつ本来の動きを取り戻したみたいだった。

 

頭、首、肩、胸にかけてのマッサージ。次に何が起きるんだろう? とゆるやかなどきどき感もあって、このままずっと終わらなければいいのになあ、と感じた。施術の間、アイマスクをしているからか、音が際立って聞こえる。しゃりしゃり、ふわわ、いろんな音に耳を澄ます時間も愛おしかった。顔にじんわりと化粧水が染みていく間に、足のマッサージへ。思えば、自分で身体をこんなに労ることはなくって、ゆっくりと触れないまま何ヶ月も経ってしまう場所もあるように思う。やさしく、ときに強く触れてもらうことで、自分の身体が身体として取り戻されたような気分になった。

 

名残惜しい気持ちを残して施術が終了。鏡を見て、肌のもちもち具合や顔のすっきり感、目の開き具合にびっくりしてしまって、思わずメイクをするのを止めてしまった。こんなにも変わるんだ。

 

服を着替えて、フルーツケーキとお茶をいただきながら舘山さんとおしゃべり。「顔は顔」「身体は身体」と切り離しがちだけど、頭のてっぺんから皮膚は繋がっていて、それが心とも繋がっている、と舘山さんが教えてくれた。日常のなかで取り入れられる、押すといいつぼがある場所についてもお土産として教えてくれて、またきます、とお店を出た。

 

帰り道、電車のなかで早速教えてもらったつぼを押してみる。せわしない日常で心が張り詰めていたけれど、身体がゆるまるとこんなにも心もゆるまるのだなあ。肌を美しくしたいとき、身体を気持ちよくしたいときはもちろん、自分にとっての余白の時間がほしいときにも、また足を運びたいなと思いました。

竹中万季(me and you)

編集者。東京都出身。2017年に野村由芽とコミュニティメディア「She is」を立ち上げた後、2021年4月に二人で「me and you」として独立。2022年2月、新たなコミュニティメディア「me and you little magazine & club」がスタート。https://meandyou.net/