「博士の愛した数式」が気付かせてくれたこと。
2014.06.08
小川洋子著「博士の愛した数式」を、
はじめて読んだのはいつでしたでしょう。
事故による後遺症で、
記憶が80分しか持続しなくなった老数学者と、
彼の世話をすることになった母子のふれあいを
描いた物語。
その中で、彼がその男の子に
はなして聞かせるいくつかのことばに
はじめて数学の美しさをみたよう。
たとえば、〝友愛数〟。
友愛数とは、異なるふたつの自然数の組で、
自分自身を除いた約数の和が、
互いに他方と等しくなるような数のこと。
もっとも小さい友愛数は、〝220と284〟
220の約数の和
1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284
284の約数の和
1+2+4+71+142=220
このカンケイを知ったとき、
感じた歓びは計り知れません。
いつも使っている数字が
とても魅力的に見えてきて
数学のうつくしさに胸がときめいたのを覚えています。
それをまた、思い出させてくれた作品がありました。
文字とことばのデザインユニット『二歩』の
「補集合の本」シリーズです。
表紙を閉じるとことばが現れる
ことばのおもちゃ絵本。
文字を使って表現された絵本という形式で
補集合をカラダで理解できる仕掛けになっています。
たくさんの集まりのなかに隠れた意味を探す、
見つけるときのワクワクした楽しさが蘇ります。
考えることの面白さに気が付けるって
すばらしいな。