ダイアログ・イン・ザ・ダーク東京が、

2017年8月末をもって神宮前外苑会場をクローズするというニュースは

その理由を知って、よりすこしやるせない気持ちになりました。

賃料がおよそ二倍に引き上がることが決定的となり

やむなく移転を決意されたとのこと。

 

数年前に訪れた日のことを、いまも鮮明に覚えています。

 

暗闇のソーシャルエンターテインメント。

ヒカリの無い世界で体験するすべてが新鮮でした。

足先や指先、頬を撫でる風や耳に飛び込む音のすべてを、

いつもよりずっと鋭く鮮やかに感じることができました。

 

目は確かに開いているのに、

真っ暗なそこではほんとうに何も見えなくて

しばらくはなんども瞬きをしてました。

 

足先を滑らせるようにすこしずつ前にやり、

恐る恐る足を進めていくしかない。

 

周りにいるひとびとの声を聴き、

周辺に何があるのか把握し

アテンダントの声に促されて進むとき

誰よりも、そのひとが自由に動き回っているのを感じました。

 

いかに、見えていることに頼っていたか

聞いたり触ったり舌で味わう感覚。

肌に伝わる感覚を思い出させてくれた場所でした。