ひと口で江戸時代まで。
2018.06.16
先日の、「お花をたしなみおやつをたのしむ。火と水の狭間で」にて
和菓子バイヤー畑主税さんがお持ちくださいました銘菓は
どれも忘れがたいものになりました。
なかでも、そのエピソードに心震えるような
銘菓「関の戸」にまつわるお話は、とても印象的で。
江戸は第三代将軍家光のころ、初代服部伊予保重により考案されたお菓子です。
伊賀の服部といえば、徳川家康に仕えた忍びとして有名ですね。
忍びは、表では別の稼業で暮らしを立てておりましたので
こちらは、初代が、いまから380年も前に生み出した菓子。
そのご縁は、越後屋(三越)とのつながりを生み、
京都発祥の高島屋に出たのは、ほんの数年前だそう。
赤小豆の漉し餡を白い求肥餅で包み
阿波の和三盆をまぶした関の戸は、
レシピさえ変えることなくいまもその一品を受け継がれています。
東海道五十三次47番目の宿場である関宿にある深川屋の「関の戸」は、
参勤交代で東海道を行く多くの大名に喜ばれたのでしょう。
その昔、旅の疲れを癒やした甘味を、いまの私たちも味わえるとは
まさに、かけがえのない一品です。
ひと口で、江戸時代まで遡るタイムスリップをたのしむひと時。