「わたしを離さないで」
2021.09.09
カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」土屋政雄訳、読了。
読んでいる間に、なんども不思議なイメージに包まれました。
何が起こるか早く知りたいという欲求、
この世界を終わらせたくないというジレンマ。
もっと強く断定的な表現で決定的に驚きたいという小さな悪魔も。
描かれたフィクションは、もしかしたら未来の現実になるのかもしれない。
ひとの想像力は限界が無く。
想像の先にしか、新しいものは生まれないだろうという自分がいて
そんなことをぼんやり考えながら、読みました。
―ノーフォークへの旅の思い出に触れてみたことがあります。トミーもまったく同じ気持ちだったと言っていました。わたしのなくしたテープを探しにいこうと決めた瞬間、突然、すべての雲が吹き払われ、あとに楽しさと笑いだけが残った、と。(続く)