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「魔法の森」より。

2014.10.17 Friday

ここに、明治のころに綴られたある姉弟の物語を、

備忘録としてメモいたします。

 

・・・・

森のこなたに小さな村があって、姉と弟が住んでいた。

父はすでになく、たった一人の母もいま息を引きとった。

おとむらいがすむと、だれもかまってくれない。

姉弟は仕方なく、

森を越えると別のよい村があるかも知れないと思ってどんどん入っていった。

これこそ人も恐れる魔法の森であることも知らないで。

 

ところが、行けども行けどもはてしがない。

そのうち木がまばらになって、ヤマイチゴのいちめんに実をつけている所へ出た。

もうだいぶおなかのすいていた姉弟は喜んでそれをつんだ。

ところが、天然のイチゴの畑に一本の細い木があって、

その枝にきれいな鳥がとまっていた。

姉弟がイチゴを食べようとするのを見て

「一つイチゴは一年わーすれる、一つイチゴは一年わーすれる」と

よく澄んだ声で鳴いた。

姉はそれを聞いてイチゴを捨て、食べようとしている弟を急いで引きとめた。

しかし弟はどうしても聞かないで、大きな実を十三も食べてしまった。

それで元気になった弟は、森ももうすぐ終わりになるだろう、

ぼくがひと走り行ってみてくるから姉さんはここで待っていてほしいと

いうや否や走り出して、そのまま姿が見えなくなってしまった。

 

いくら待っても帰って来ない。

そのうちに日はだんだん暮れてくる。

この森の中で一晩明かすと魔法にかけられて木にされてしまうので、

小鳥は心配して、

さっきからしきりに「こっちこい、こっちこい、こっち、こっち」と鳴き続けているのだが、

姉は、「いいえ、ここにいないと、弟が帰って来たとき、私がわからないから」といって、

どうしてもその親切な澄んだ声の忠告に従わない。

一方、弟の方は、間もなく森を抜ける。

出たところは豊かな村で、そこの名主にちょうど子がなく、

さっそく引き取られて大切に育てられた。

ところがそれから八年過ぎ、九年過ぎだんだん十三という年の数に近づくにつれて、

何だかこころが落ち着かなくなっていった。

何か大切なものを忘れているような気がして、

どうしてもじっとしていられず、

とうとう十一年目に意を決して養父母にわけを話し、しばらく暇を乞うて旅に出た。

 

それからどこをどう旅しただろう。

ある日ふと森を見つけ、

なんだか来たことのあるような所だと思ってしばらく行くと、イチゴ畑に出た。

この時がちょうど十三年目に当たっていたため、いっぺんにすべてを思い出し、

姉が待っていたはずだと気が付いて急いで探す。

すると、あのとき姉の立っていた所に一本の弱々しい木が生えている。

弟は、これが姉の変り果てた姿と悟って、

その木につかまって思わずはらはらと涙を落とした。

 

ところが、そうするとふしぎに魔法がとけた。

姉は元の姿に戻り、姉弟は手を取り合ってうれし泣きに泣く。

小鳥がまた飛んで来て「こっち、こっち」と澄んだ声でうれしそうに鳴く。

こんどは二人ともいそいそとその後についていって森を出る。

養父母も夢かと喜び、その家で姉弟幸福に暮らす。

・・・・・

 

これは、《岡潔著「春宵十話」》にある児童文学「魔法の森」のあらましです。

巌谷小波(いわやさざなみ)さんのお弟子さんが出された本に掲載されていて、

岡潔さんが幼少のころ読んで、忘れられない物語のひとつであったそう。

 

いろんなことを想ったり、妄想したり、

考えたりすることができる一篇だと

記憶にとどめておきたくなりました。

 

写真は、おむすび まるさんかくさんからいただいた〝ほおずき〟

今日のティタイムにはこのほおずきをお召し上がりいただけます。

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折目節目のついた暮らしに。

2014.10.16 Thursday

映画「蜩ノ記」の食事のシーンや、

その制作秘話を聞くうちに、

小笠原流礼法について知りたくなりました。

宗家の小笠原流敬承斎さんが同年代ということも一因して、

継承後はじめて出版された著書「美しいふるまい」を

読んでいるところ。

 

伝書にあることばを

現代のやさしいことばで説かれたそれを、

ひとつひとつ理解しながら

自分の日ごろの様子を振り返りながら

ページをめくっています。

 

中に、〝五節供〟について書かれたところがあり、

ここに備忘録として。

 

・・・・・

五節供のこと。

諸悪鬼の日なり。

ゆえに祝いをなし、

その厄をのがれるといえり。

・・・・・

 

季節の変わり目は気候の変動の大きいことから

病気になりやすいので、

それを予防するために

その時期ごと神への供物によって

厄を祓う思想があったであろう、と

説かれています。

 

先人たちは、

季節感を生活の中に自然に取り込み、

四季の移り変わりを大切に、

折目節目のある暮らしを

送ってきたのでしょう。

 

その日のことを思い出すだけでも、

これから、出来るといいなと思いました。

20141016

ちいさな料理/レモンエアライン1015便

2014.10.15 Wednesday

こころのハリが弱っている時には、

 

ちいさな音で台所仕事をしたい。

 

細い水でほうれん草の泥をとりのぞいて。

 

桶の中でゆらゆらと泳がせて。

 

ほうれん草が痛くないように、

 

やさしく包丁を入れていく。

 

こころのハリが弱っているから、

 

いつもよりちいさく。

 

大きな口をあけなくてもいいように。

 

そっと、そっと。そっと。

 

 

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◎レモンエアラインが本になりました。

コチラのスペシャルサイトもごらんくださいませ。http://lemonairline.com/

シラスアキコ(文筆家)

クリエイティブユニット「color/カラー」(www.color-81.com)の

コピーライター・クリエイティブディレクターとして活動。

「モノ語りのあるモノづくり」を大切に、

企業のブランディングから商品開発、プロダクトデザインの企画、

広告制作、ラジオCMなどを手がける。

60年代の日本映画とフランス映画、赤ワインが好物。

 

*レモンエアラインは、毎週水曜日に出航です。

こころがふうわりと浮遊する軽やかなじかんを、お楽しみください。*

レモンエアライン/ロゴ

 

 

 

 

無心になって、○を書いてみるワークショップ。

2014.10.15 Wednesday

公開された「ホナガと千原のヤギさんラジオ」でもおはなししていますが、

ソラは、月に一度、作家さんをお招きしたワークショップがございます。

 

今月、10月19日(日)は、

書家 華雪さんと、SLOW COFFEE 小澤陽祐さんをお招きし、

vol.19 「香り高いオーガニックコーヒーと、〝書〟に触れる秋の日。」

というテーマで、毛筆を持って書く体験をいたします。

 

書くものは、「円相(まあるい円)」。

ただただ、円を書いていく。

 

年齢も、性別も、普段のお仕事も

暮らしの中でご自分を囲ったり覆ったりするすべてのことから解放され、

無心になって、書けたらいいな。

 

お席、ございます。

みなさまからのお申込みをお待ちしております。

くわしくはこちら、先日のご案内文をご覧くださいませ。

http://bihadasora.com/archives/6049

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photo : 林口哲也

「ほんとの日曜日」Vol.1のリポートです。

2014.10.14 Tuesday

アテンションプリーズ!
レモンエアラインのシラスアキコです。

こころがふうわりと軽くなるイベント「ほんとの日曜日」。
記念すべき第一回が、10月5日の日曜日にひらかれました。

なんとその日は、雨&風、つまり嵐!
台風接近中というハードな舞台装置が用意されていました。
み、みなさん、来てくださるのだろうか。
電車止まったりしないだろうか。

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会場である大倉山の“ブックアパート”のテラスもこんな感じ。(でも綺麗)

 

ところが、そーんな心配をよそに、
予定されていたみなさま、全員が集まってくださいました!
ありがたいーーーーー。

 

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「おはようございます〜。」

午前10時ぴったりにスタート。
ゲストのオルゴール作家・杉山三氏とシラスアキコで、
ゆるゆるとごあいさつ。

注:ちなみに杉山三は、すぎやまさんと読みます。
名前の「三」は本名でないらしい。
ただの“すぎやまさん”でいたかったらしい。(豆知識)

 

さぁ、紙巻きオルゴールで“世界にたったひとつの曲”をつくりましょう。
自分の好きな本のタイトルにそって、
シートにプツプツと穴をあけていきます。

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プツプツ、プツプツ….。

 

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Vol1_03_体験03

 

プツプツ、プツプツ….。

 

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刺繍のような、写経のような。
集中できる時間って、心地いいー。

 

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外の嵐がうそのように。
この“ブックアパート”の空間だけは、
あったかくておだやかで…。

 

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なになに?どんな感じ?

 

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せつなくて、可愛らしいオルゴールの音が、
ポロンポロンと響きだしました。

 

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あぁ、なんてやさしい時間なのでしょう。
紙巻きオルゴールの音が、地球全体から聴こえてくるといいのになぁ。

 

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集中したらお腹がすきましたね。
そろそろ“ほんとのブランチ”のお時間です。
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この女性が今日のシェフ、“あゆみ食堂”の大塩あゆ美さんです。

 

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「10月のスープ、そしてパン」。
大塩あゆ美さんが好きな本
“それからはスープのことばかり考えて暮らした”からイメージしたメニュー。
「いただきまーーーす!」

野菜とお豆をコトコト煮込んだスープは絶品。
季節の素材がくれたコクと深いうまみが、
からだ全体にしみわたっていきます。
フォカッチャは、もちもち。
さつまいものあまみが、じんわり口角を上げていく。

 

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(あ、この方は”美肌室ソラ”の舘山信子さん。今日はお客さまとして参加☆)

みんなでいただく“ほんとのブランチ”。
自然とにっこり顔になるなぁ。

 

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最後は、シラスアキコの朗読 × 杉山三氏のオルゴール演奏。

レモンエアラインのとくべつな書き下ろしを、
読ませていただきました。

曲はタイトルの「トランジットな午後」の文字でできた
やはり世界でたったひとつの曲!
偶然なのか当然なのか、とっても雰囲気がぴったりで…。
文字と音って、似るんですねー。

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あっという間の2時間でした。
本当にすてきな時間をありがとうございましたーーー。
このご縁に感謝☆

Vol1_08_最後05

そしてみなさんに「ほんとの日曜日」のフライヤーをおくばりしました。
(杉山三氏のインタビューも載っています!)
Frasco・石黒潤氏によるアートワークがうつくしいです☆

次回の「ほんとの日曜日」Vol.2は、
2015年2月8日(日)。
ゲストは「死後くん」を予定しています!
それでは、いつかの、ほんとの、本との日曜日にお会いしましょう!!

シラスアキコ

 

◎「ほんとの日曜日」は、手作りのイベントです。

”お肌とこころの休憩所”である「美肌室ソラ」の空気を、
ポケットの中に持ち歩けたら…。そんな想いで生まれた読む飛行機
「レモンエアライン」が、今度は本を飛びだして、ここブックアパートで
「ほんとの日曜日」という時間を生み出します。
”こころがふうわり”の連鎖がどうか叶いますように。

写真:小黒隆介

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

疲れ目に効く、温熱アイマスクのサービスを。

2014.10.14 Tuesday

台風が通り過ぎていきました。

空はまるできれいに掃いたように雲ひとつない青一色。

時折り強い風が参りますので、

折れた枝などが飛んでくるなどの危険があるとのこと。

外出のとき、当たらないように祈るばかりでございます。

 

さて、すっかり秋になりました。

朝夕は涼しく、そろそろ街路樹も色づきはじめているようです。

 

ソラでは、フェイシャルトリートメント中にさせていただくサービスを、

〝温熱アイマスク〟のサービスに切り替えさせていただきました。

 

ほんのりラベンダーのエッセンシャルオイルにくぐらせたスチームタオルを、

ローションパック中の目元にじんわり置かせていただきます。

およそ5分。

目元の疲れがすーっと取れていきますように

やさしくじんわり温めて。

 

美容成分がぐんぐん浸透した目元には

ふっくらとハリが戻って

くっきりきれいな白目と瞳。

 

秋から冬へ、

ますます空気が乾燥して参ります。

 

どうぞ、潤いあふれてイキイキとしたお肌を

目指してまいりましょう。

 

みなさまからのご予約をお待ちしております。

http://bihadasora.com/yoyaku

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パンの焼けるにおいで目覚める朝。

2014.10.13 Monday

パンの焼けるにおいではじまる朝、

残念ながら、我が家のことではありません。

お客さまから伺ったホームベーカリーのことを

思い出しているのです。

 

ふたりの小さなお子さまと、ご夫婦の4人家族の食卓に

焼き立てのパンをほおばる朝のこと。

一斤の食パンを、一度できれいに食べきられるそう。

 

パンの焼けるにおいでテーブルに着く朝は

なんだかうらやましいなぁと。

 

今朝は、

冷凍庫にあった食パンを、

こんがり焼いて

たっぷりのバターとハチミツでいただきましょう。

 

キッチン家電も

たくさんの新製品が毎年発売されています。

油を使わないであげるオーブントースターや、

お餅もうどんもできるホームベーカリー

スムージーがカンタンに作れるジューサーが

いまは大変人気のようですね。

 

毎日の食卓にたのしみが増えるよう、

たまには家電屋さんを覘いてみようと思いました。

 

写真は、セントル・ザ・ベーカリーの食パン棚をネットから。

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瞳が輝いている理由。

2014.10.12 Sunday

ソラのお客さまから教えていただき、

深夜に再放送されていたNHK BS

「チアリーディングJapan Cup 日本選手権大会2014」を

観ることができました。

 

小学生から社会人まで、

幅広い年代で、全国から選ばれた精鋭たちの

キビキビとエネルギッシュな演技に感動しています。

 

まるで、吸い寄せられるように見えるリフトや

いったい空中で何回くるくる回るんでしょうと思うような宙返り。

三人がリフトで組み上がっているさまは、

一番下のひとは、いったいどれほどの重さを抱えてるんだろうと

目を白黒させてみていました。

チアリーディングに、男性も一員となって演技することを

はじめて知りました。

 

演技時間は2分30秒。

その間、一瞬たりとも気を抜くことなく

常に走り続けている様子は

観ているこちらまで、息をすることを忘れてしまいそう。

 

この演技を見て、

ひとつ、とっても合点がいったことがございます。

 

それは、教えてくださいましたお客さまの目の輝きのこと。

チアのことだけじゃなく、

その方は、いつもキラキラととても美しく輝く瞳で

おはなししてくださいます。

 

その輝きは、その方の魅力を何倍も引き立てていて。

 

オードリー・ヘプバーンの名言を思い出します。

・・・・・

魅力的な唇のためには、優しい言葉を紡ぐこと。

愛らしい瞳のためには、人々の素晴らしさを見つけること。

For attractive lips, speak words of kindness.

For lovely eyes, seek out the good in people.

・・・・・

写真はこちらのサイトより。

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「ヒロイヨミ社通信」より。

2014.10.11 Saturday

手製のフライヤーを、ヒロイヨミ社 山元伸子さんが

ソラに届けてくださいました。

きちんと折り畳まれたそれを開けると

一通の手紙が書かれていて。

 

ソラで開いた読書サロン「ほんとの日記」について

書いてくださっているかのようなくだりを見つけ

ひとりほくそ笑んでおりました。

 

こうして、そこはかとなく伝わる想いは

やはりうれしいものですね。

 

その手紙の、うつくしい書き出しをここにすこし。

・・・・・

虫がしきりに鳴いています。

すずしい風も吹きました。

秋ですね。

お元気でいらっしゃいますか?

 

今日、駅にむかう道を歩いていたら、

一枚の葉がわたしの前にはらりと落ちてきました。

わたしはそれを木からの手紙のように感じて、

拾いあげてじっとみました。

穴がたくさん空いていました。

その穴は、もしかしたら、

葉のことばなのかもしれない、と思いました。

(後略)

・・・・・

 

〝ことば〟は、言の葉というとおり、

木から落ちるその一枚は

何か伝えてくれているのかもしれません。

 

もうじきに、落ち葉舞うころになりますね。

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珈琲と本は、親戚みたい。

2014.10.10 Friday

サニーボーイブックスの高橋和也さんが、

出来立てのフライヤーを持ってきてくださいました。

その名は「CUPS AND BOOKS HELVES」。

 

冒頭に書かれたコラムにとても共感しています。

 

・・・・・

〝僕はひとりで小さな本屋をやっている〟

 

本屋といっても百貨店やショッピングモールに入っている大きなものとは違う。

のらりふらりと探し当ててきた物件を、

自分なりに改装してお金をかけずにはじめた個人のお店だ。

(後略)

・・・・・

 

そのお店をひとりで切り盛りされる苦労も歓びも

行間からじわじわとにじみ出てくるような

味わいのある文章です。

 

高橋和也さんのお人柄を思い出しながら読むと、

お隣に越してきてくれたら

すぐに何かあったら愚痴を言いにいけるのにとつぶやく

その珈琲屋さんのことも

なんだか親しみが湧いてくるようで。

 

本を読みながら珈琲を・・・

なんだかとっても幸福な時間になりそうです。

 

写真は、「ほんとの日曜日」のフライヤー、ヒロイヨミ社さんのフライヤーと一緒に。

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